生存戦略としてのP2P
P2Pの限界:悪意の隙間はあるか
「P2Pには悪意が介在する隙間すらない」は言い過ぎ。寡頭制の鉄則、構造のない専制、シビル攻撃、ザ・DAO。
主張の検討
「P2Pシステムには、誰かの悪意が介在する隙間すらない」。方向性としては、特定の人物の悪意に依存しない設計を目指す、という意味で、正当です。ただし、字義どおりには成り立ちません。
悪意の入り口
| 入口 | 内容 | 事例・理論 |
|---|---|---|
| 寡頭制の鉄則 | どんな民主的な組織も、運営の専門化によって、少数の支配に至る | ミヒェルス(1911) |
| 構造のない専制 | 公式の構造がない集団は、見えない非公式の階層が支配する | ジョー・フリーマン(1972) |
| シビル攻撃 | 偽の参加者を大量に作り、投票や評判を歪める | Proof of Read:需要という合意 |
| 51%攻撃・談合 | 多数派の結託による支配 | ブロックチェーン全般 |
| 鍵の漏洩・実装の欠陥 | コードや鍵の脆弱性 | ザ・DAO事件(2016年、約5,000万ドル規模の流出。イーサリアムのハードフォークに至った) |
| 社会工学 | 人をだまして、操作する | — |
| 編集合戦 | 同じ頁を、互いに書き換える。止める者がいない | 50%-50%の設計:親と子に分かれない対等 |
「コードは法」の限界
ザ・DAO事件では、コードの通りに実行された流出が、コミュニティの社会的な合意で巻き戻されました。「コードが全てを決める」は、現実には成り立たず、最後は、人の合意に戻ります。
設計での対応
- 見えない階層を見える階層にする:公式の役割と権限を、明示する(フリーマンへの応答)。
- 任期と交代:寡頭化に対抗する(硬直化:成功が組織を殺す)。
- シビル耐性:参加の重みを、偽造に高い費用がかかるものに結びつける(貢献の公開台帳)。
- 最後の合意の手続き:コードの外の、合意の手順を決めておく(決定の記録(ADR形式))。
「悪意の隙間がない」ではなく、悪意が入っても、被害が限定され、検出され、修正できる。これが、現実的なP2Pの目標です。
関連項目
Wikipedia ミラーで読む(wikipedia-is-dead.com)
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