原理
創造と破壊はセットか:自然科学の確認
結論:「対になって現れる」という型は普遍的。ただし「他者の組織を壊してよい」根拠にはならない。
問い
「創造と破壊はセットであり、それは個人の思想ではなく自然科学的に自明の理(原則)である」。これを確認しました。
結論
前半は支持される。構造が維持・更新される系では、解体と再構築が対になって進む事例が、物理・化学・生物・生態・経済・科学史に広く見られる。
後半は言い過ぎ。「原則」「自明の理」と呼べる単一の法則はなく、経験的に繰り返し現れる型です。
後半は言い過ぎ。「原則」「自明の理」と呼べる単一の法則はなく、経験的に繰り返し現れる型です。
事例
| 領域 | 事象 | 要点 |
|---|---|---|
| 物理・化学 | 散逸構造(プリゴジン、1977年ノーベル化学賞) | 秩序は、エネルギーが流れ散逸する系に維持される。流れが止まれば構造は崩れる |
| 生化学 | 代謝(同化と異化)、生体成分の動的状態(シェーンハイマー) | 体を作るタンパク質は絶えず分解され、再合成される |
| 発生・細胞 | アポトーシス(プログラムされた細胞死) | 指の間の水かきは、細胞死で消える。毎日、膨大な数の細胞が更新される |
| 骨 | リモデリング(破骨細胞と骨芽細胞) | 骨は壊されながら作り直され、長い年月で入れ替わる |
| 神経 | シナプスの刈り込み | 思春期に、使われない結合が削られて回路が洗練される |
| 生態 | 中規模攪乱仮説(コネル、1978) | 適度な攪乱が、種の多様性を最も高める |
| 天文 | 超新星 | 星の死が、重元素を撒き、次の世代の星と惑星の材料になる |
| 免疫 | クローン選択 | 不要な細胞は淘汰され、有効なものが増える |
| 経済 | 創造的破壊(シュンペーター、1942) | 旧い産業・企業の解体が、新しい産業の資源を解放する |
| 科学 | パラダイム転換(クーン、1962) | 旧い枠組みの崩壊が、新しい枠組みの前提になる |
ここで言えないこと(物理屋向けの但し書き)
- 保存則・対称性・安定構造もある。系が壊れることだけが自然の原則ではない。共生・協力・安定も、同じく普遍的に観測される。
- 自然界の破壊は内部で制御されている。アポトーシスは細胞自身のシグナルで起き、制御を失った増殖(がん)や無秩序な壊死は、反対の失敗型。
- 「何を」壊すかは、自然科学では決まらない。型が示すのは、更新のための解体が普通に起きるということまで。個別の組織や人を壊してよいという規範は、自然科学からは出てこない。
ゆえに、この Wiki の「破壊」は #task001:北大 未来開拓倶楽部を創造的破壊せよ の境界条項で意味を固定します。更新を促す(代替を示して不要にする)ことを指し、人や名誉を傷つける暴力的な解体ではありません。
関連項目
Wikipedia ミラーで読む(wikipedia-is-dead.com)
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